ホンダの燃料電池車 クラリティ FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)をご紹介しているページです。

自動車だけではなくオートバイや発動機などといった市場でも大手メーカーであるホンダの初となる燃料電池車ですが、現在のところはリース専用となっています。

なお、正式社名は「本田技研工業」ですが、こちらのページでは読みやすさを考慮して「ホンダ」で統一しています。

クラリティ FUEL CELLの価格・性能

クラリティ FUEL CELL

クラリティ FUEL CELLは2016年3月10日に市販が開始されました。当時から現在に至るまで、販売方法はリース販売のみとなっています。

ホンダからのアナウンスによると、メンテナンス対応を確実に行うため、今後も一般的な販売ではなく、リース販売を予定しているとのことです。

新車価格 767万2320円
補助金 225万3800円(自動車グリーン税制+エコカー減税+CEV補助金)
実質価格 541万8520円
中古価格相場
納期 1~3ヶ月
燃費 10~14円/1km(※水素1Nm3あたり110~150円で計算)
最高速度 165km/h
航続距離 750km
水素充填圧力 70Mpa(約700気圧)
充填時間 3分
トランク容量
安全設備 Honda SENSING(ホンダ センシング)
販売台数

カラーバリエーション

クラリティ FUEL CELLの最もポピュラーな色は白系(プラチナホワイト・パール)ですが、他にも2種類のカラーバリエーションが用意されています。

プラチナホワイト・パール
プラチナホワイト・パールのクラリティ FUEL CELL

クリスタルブラック・パール
クリスタルブラック・パールのクラリティ FUEL CELL

プレミアムブリリアントガーネット・メタリック
プレミアムブリリアントガーネット・メタリックのクラリティ FUEL CELL

内装・インテリア・トランク

こちらがクラリティ FUEL CELLの内装・インテリアです。カラーバリエーションが2通り用意されています。
クラリティ FUEL CELLの白系の内装・インテリア

クラリティ FUEL CELLの黒系の内装・インテリア

クラリティ FUEL CELLのトランクの容量は公開されていませんが、9.5型のキャディバッグが3つ入ります。
クラリティ FUEL CELLのトランク

クラリティ FUEL CELLが誕生するまでの歴史

現在、ホンダの燃料電池車として全面に出されているのは、前述の「クラリティ FUEL CELL」ですが、ホンダの最初の燃料電池車として誕生したのは「FCX」です。

「FCX」→「FCXクラリティ」→「クラリティ FUEL CELL」といった具合に、現在に至るまで2度の大きなモデルチェンジが行われました。

1999年~FCXシリーズの開発

1999年9月に、純水素燃料を用いた「FCX-V1」と、メタノール改質型の「FCX-V2」という2つの実験車が公開されました。前者はカナダのバラード社製の燃料電池を、後者はホンダ製の燃料電池を搭載していました。

なお、表には出ていませんが、初代オデッセイをベースにした実験車「FCX-V0」も存在したとされています。

2000年~FCX-V3の誕生と公道での走行テスト開始

翌年の2000年9月には、高圧水素を燃料とした「FCX-V3」が公開されます。ウルトラキャパシタというシステムをパワーアシストとして採用したことで、これまでの2タイプよりも発進性や加速性が向上しました。

公開された当初は、FCX-V3でもバラード社製の燃料電池スタックを使用していましたが、2001年2月にはホンダ製の燃料電池スタックを搭載したモデル「FCX-V3 with Honda FC Stack」も誕生し、アメリカのカリフォルニア州にて公道における試験走行が開始されました。

また、同年7月にも大きな動きが2つありました。1つはカリフォルニア州に水素ステーションを開設したことです。こちらのステーションには太陽電池も設置されました。

もう1つはFCX-V3が日本の公道でも走行テストを始めたということです。主に栃木県の一般道や高速道でテストが行われました。

同年9月には燃料電池システムを再度設計し直した「FCX-V4」が誕生しました。これまでのモデルよりもコンパクト化することに成功しています。

350気圧対応高圧水素タンクを搭載したことで、航続距離が120km(180km→300km)ほど伸びました。なお、数値はFCX-V3との比較です。

2002年~FCXのリース販売開始

FCXの外観

2002年12月には、FCX-V4がベースとなった「FCX」が日本とアメリカに納車(リース。以下同)されました。納車先は日本が内閣府、アメリカがロサンゼルス市でした。

翌2003年には世界で初めて燃料電池車を民間企業(岩谷産業株式会社)に納車したほか、アメリカではサンフランシスコ市へもFCXが販売されました。

同じく2003年の10月には、-20度でも始動ができる次世代型燃料電池スタックを世界で初めて開発しました。名称は「Honda FC STACK」です。

このスタックを搭載したFCXは2004年4月にアメリカでテスト走行を始め、11月にニューヨーク州へ納車されました。2005年1月には北海道庁にも納車されています。

これまでは全て行政や法人などといった団体への納車でしたが、2005年6月にはカリフォルニア州レドンドビーチに住むスパリーノ氏へ、個人客では世界初となる納車が行われました。

その後、2007年3月にはアメリカの女優クオリアンカ・キルヒャー氏へも納車されました(個人への納車2例目)。

2007年~FCXクラリティの誕生

FCXクラリティ

ここまでは「FCX」のストーリーでしたが、ここからは「FCXクラリティ」が登場します。2007年11月に開催されたロサンゼルスオートショーにて、ホンダの新型燃料電池車「FCXクラリティ」が公開されました。

実際にFCXクラリティが納車されたのは2008年6月のことです。前述のスパリーノ氏を含む5組の個人が、世界で最初にFCXクラリティを手に入れました。

ちなみに、スパリーノ氏は「世界で初めて燃料電池車から燃料電池車に乗り換えた人」になったとされています。

日本では2008年11月から販売が始まりました。行政機関と法人が対象となっていて、日本で最初のFCXクラリティは環境省へ納車されました。規模は小さいものの、その後はヨーロッパでも展開されています。

水素ステーションが整備されていないこともあり、FCXクラリティの普及はまだまだですが、FCXクラリティをベースにした量産型燃料電池車が、2018年に生産開始予定であるとホンダは発表しています。

2013年~ゼネラルモーターズと技術提携

FCXクラリティの自治体への納入が進む中、2013年7月に大きな発表がありました。それは「ゼネラルモーターズと次世代燃料電池システムの共同開発に合意した」という発表です。

2011年には日産がルノーやクライスラーと、2013年1月にはトヨタがBMWと同様の提携を行っていて、ホンダに関しても他の自動車メーカーとの提携が噂されていましたが、ついにホンダも提携を行うことになったのです。

そして、ゼネラルモーターズとの共同開発の合意から4ヶ月後の2013年11月、ロサンゼルスオートショーにて、新型燃料電池電気自動車「Honda FCEV CONCEPT」を公開しました。

前述のFCXクラリティの後継モデルに該当するコンセプトカーで、ここからはこのHonda FCEV CONCEPTをベースにした開発を進めていきます。

翌年2014年11月には「Honda FCV CONCEPT」を初披露します。前回のロサンゼルスにおける発表時は「FCEV」の表記でしたが、この頃になって「FCV」の表記の方が一般的になってきたことから、表記を微修正したのかと考えられています。

Honda FCV CONCEPTをベースにした燃料電池車を2015年度中に市販すると発表したのもこの頃です。まずは日本国内で市販することを目指し、それから米国や欧州などといった海外市場へ展開するとのことです。

2016年~クラリティ FUEL CELL発売開始

クラリティ FUEL CELL

2015年の東京モーターショーにて、FCXクラリティの次モデルとなる「クラリティ FUEL CELL」が発表され、2016年3月10日よりリース販売がスタートしました。

燃料電池車における心臓部であるセルスタック(燃料電池スタック)を、従来から33%小型化することに成功し、世界で初めてボンネットにセルスタックを搭載したセダン型燃料電池車となりました。

ガソリン車におけるガソリンにあたる水素を蓄えておく圧縮水素タンクは、トヨタの燃料電池車MIRAIと共通化しました。

これは、両社の水素タンクを共通化することによって、水素ステーション設備も共通化させることができ、水素ステーションの普及促進に繋がるという判断によるものです。