次世代型自動車として注目を集め、現在では複数の自動車メーカーから市販されている電気自動車。
英語表記である「Electric Vehicle」を略して「EV」や、「Battery Electric Vehicle」を略して「BEV」とも表記されます。
ガソリン車がガソリンでエンジンを動かすように、電気自動車は電気でモーターを動かします。
日本では日産のリーフや、三菱のi-MiEV(アイミーブ)が電気自動車としてよく知られているほか、世界的にはテスラが電気自動車メーカーとして人気となっています。
仕組み
(出典:国立環境研究所・環境展望台)
こちらが電気自動車の基本的な構造です。バッテリーに電気を充電して、その電気を用いてモーターを回して走るという仕組みです。バッテリーとモーターの間には、アクセルペダルとも繋がっているコントローラー(制御装置)があります。
バッテリー
電気自動車の心臓に当たるのがバッテリーです。蓄電池や二次電池などと呼ばれることもあります。当然ながらバッテリー内の電気が空になってしまうと、電気自動車は動くことができません。
バッテリーにも複数の種類がありますが、電気自動車のバッテリーとして用いられているのが「リチウムイオン電池」です。実はスマートフォンの電池もこのリチウムイオン電池が採用されています。
鉛蓄電池やニッケル水素蓄電池と比べると、リチウムイオン電池は、充電や放電を何度も繰り返したり、継ぎ足して充電したりする機器に適しているという特徴があり、電気自動車もスマートフォンもこのように使われるため、採用されました。
満充電の状態から充電が空になるまで走り続ける際の距離を「航続距離」と言いますが、バッテリーの容量が大きければ大きいほど航続距離が伸びるため、電気自動車を比較する際にはバッテリーの容量も大きなポイントとなってきます。
モーター
一般的なガソリン車のエンジンに該当するのがモーターです。電気自動車はエンジンではなく、モーターを回して車を動かします。
モーターを大きく分けると、交流電流のACモーターと直流電流のDCモーターの2種類になりますが、電気自動車ではACモーターが採用されています。DCモーターと比べて高度な制御が可能であるためです。
電気自動車のモーターは、アクセルペダルを踏むと、バッテリーからの「電気エネルギー」をモーターが「運動エネルギー」に変えて回転し、そしてタイヤが回るという仕組みになっています。
また、ブレーキペダルを踏むと(減速すると)、今度は逆に「運動エネルギー」を「電気エネルギー」に変え、バッテリーに電気を蓄えるという仕組みになっています。この仕組みのことを回生と言います。
コントローラー(制御装置)
電気自動車の頭脳と言えるのがコントローラーです。様々な電子装置が含まれていますが、その代表と言えるのがインバーターです。
インバーターは直流電流と交流電流の交直変換を行う装置です。バッテリーに蓄えられている電気は直中電流ですが、モーターが必要とするのは交流電流ですので、その変換を行うための装置となっています。
アクセルの踏み加減に応じてモーターの回転速度の制御(直流→交流)を行い、逆にブレーキがかかる際には回生制御(交流→直流)を行います。
また、バッテリーはどうしても性能劣化が避けられない性質のものですが、それでも充放電制御を行ってできるだけバッテリーを良好な状態に保つためのバッテリーコントローラーも設けられています。
メリット・デメリット
電気自動車の仕組みに続いてご紹介するのは、メリットとデメリットです。それぞれ代表的なものを11個ずつ挙げてみました。
電気自動車の最大のメリットはなんと言ってもその環境性能ですが、他にも様々なメリットがあります。
ただ一方で、ガソリン車ではない電気自動車ならではのデメリットが存在するのも事実です。技術開発によって、これらのデメリットを一つずつでも克服することができれば、電気自動車の未来は明るいと言えるでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
二酸化炭素や排気ガスを出さないので、地球環境に優しい | 航続距離(走行可能距離)が短い |
振動や騒音が小さい | 静かすぎて歩行者に気付かれにくい |
補助金制度を利用できる | ガソリン車と比べると車両価格は高め |
経済的(燃費が良いため、ランニングコストが少ない) | 充電に時間がかかる(スタンドに空きがないと、前の車の充電が終わるまで待たなければならない) |
電気工事をすることで、自宅でも充電が可能 | 電気工事に10万円前後の費用がかかる |
変速機が不要 | 充電スタンドの数がまだまだ少ない |
回生ブレーキが使用可能 | 充電スタンドそのものが故障していると非常に困る |
ガソリンを必要としない | エアコン(特に暖房)を使うと電気をかなり使い、航続距離が落ちる |
スポーツタイプの電気自動車もある | パワーや最高速度はガソリン車に敵わない |
低速時のトルクが太い | 寒冷地ではバッテリーの性能が落ちやすい |
世間的な知名度は上がってきている | 知名度は上がっているが、市販されている車種は少ない |
事故と安全性
電気自動車には様々な安全施策が施されているため、ガソリン車と同様に安心して乗ることができます。しかし、ガソリン車もごく希に炎上することがあるように、電気自動車も100%何も起きないという保証はありません。
電気自動車の事故としては、特にバッテリーに起因する火災や感電事故が挙げられますが、これらの事故に対してどのような安全施策が施されていて、更に実際に起きてしまった際にはどのような対処をすれば良いのか、分かりやすく解説します。
バッテリーが発火して火災が起きる?
電気自動車のバッテリーには「リチウムイオン電池」が採用されています。
ノートパソコンやスマートフォンのバッテリーもリチウムイオン電池ですが、電気自動車にしてもノートパソコンにしてもスマートフォンにしても、バッテリーの発火事件は実際に何件も起きてしまっています。
しかも、電気自動車のバッテリーのサイズはノートパソコンにやスマートフォンの比ではありません。バッテリー数千個が1つのバッテリーパックになっているのです。そのため、万が一発火するとよりも大きな火災に繋がってしまう可能性もあります。
リチウムイオン電池はその構造上、外部からの衝撃などによってショートすると熱が発生し、その熱が原因で発火する危険性があります。
そのため、電気自動車にはバッテリーパックを衝撃から守るための様々な装置が取り入れられているほか、熱で温度が上がりすぎないようにバッテリーの冷却装置も設置しています。
感電しない?
電気自動車のバッテリーは高電圧かつ高容量ですので、感電を心配される声もよく耳にしますが、先に答えから言ってしまいますと、絶対に感電しないという訳ではありません。
電気自動車は、事故が起きると(事故の衝撃をセンサーが感知すると)、高電圧回路が遮断される仕組みになっています。そして、全ての電気自動車がこの仕組みを採用しなければならないと、法律で義務づけられています。(参考:国土交通省PDF - 電気自動車、電気式ハイブリッド自動車及び燃料電池自動車の衝突後の高電圧からの乗車人員の保護に関する技術基準)
この仕組みのおかげで、感電の恐れはほとんどないと言えるのですが、以下の場合は感電のリスクがあるので注意が必要です。
- 高電圧部品や高電圧ケーブルが外部に露出してしまっている場合
- レスキュー隊員が車両を切断する必要がある場合
事故の際の対応
電気自動車で事故が起きてしまった際には、以下の対応をしっかりと守るようにしてください。
- 事故で車両が損傷し、安全を確認できない場合は車から離れる
- 高電圧部品や高電圧ケーブルが露出している場合は絶対に触れない
- 床下に衝撃を受け、損傷が確認された場合は、絶対に触れずにメーカーに連絡する
- バッテリー液が漏れている場合は絶対に触れない(触れてしまった場合は水で洗い流して、速やかに医師に相談する)
- 火災が発生した場合は速やかに車から離れる(消火作業をする場合は、電気火災用の消火器あるいは大量の水を用いる)
- けん引をする場合、前輪もしくは4輪を持ち上げてけん引する
電気自動車とガソリン車の燃費を比較
ガソリン車の燃費は「ガソリン1Lあたりの走行距離」ですので、電気自動車の場合は「1kWhあたりの走行距離」がガソリン車の燃費に相当すると考えることができます。
ただ、同じ条件で「1km走行するのに必要な費用」と考えるとより分かりやすいので、簡単に比較表をまとめてみました。
特に「距離あたりの燃費」の項目に注目してみてください。ガソリン車と比べて電気自動車は半分以下の燃費となっていることが分かります。これが電気自動車の持つ大きな魅力です。
なお、電気自動車は燃料ではなく電気で走るため、「燃費」という表現は正しくはないのですが、こちらでは分かりやすくするために燃費という表現をしています。
項目 | 電気自動車 | ガソリン車 |
---|---|---|
価格 | 12~25円/1kWh | 130~170円/1L |
距離あたりの燃費 | 2~4円/1km(目安) | 9~12円/1km(目安) |
提供施設 | 充電スタンド | ガソリンスタンド |
設置場所 | 自宅・各種商業施設など | 全国各地に多数 |
- 電気料金に倍近い振れ幅があるのは、安い夜間料金と高い日中料金があるためです。
- ガソリン車の燃費は車種によって大きく異なりますが、1Lあたり15kmで計算しています。
- ガソリン価格は為替の変動や産油国の情勢や税率変更などによって大きく変動することもあります。
主な電気自動車メーカー
電気自動車を市販している主な自動車メーカーをまとめてみました。国産車だと日産と三菱が特に電気自動車の研究開発に力を入れています。
また、電気自動車メーカーとして世界的に知られるテスラや、日本でもお馴染みのBMWやジャガーなども、日本市場に参入しています。
メーカー | 車種 |
---|---|
日産 | リーフ e-NV200(商用車) |
三菱 | i-MiEV |
テスラ | Model S Model X |
BMW | i3 |
ジャガー | I-PACE |
フォルクスワーゲン | e-ゴルフ |
航続距離(走行距離)ランキング
現在市販されていて日本で購入可能な電気自動車を対象にした、航続距離ランキングです。同じ車種でバッテリー容量が違うグレードがある場合は、最も航続距離が長いグレードを表示しています。
かつては航続距離(走行距離)がネックとなっていた電気自動車ですが、バッテリーの大容量化が進んだこともあり、ご覧の通り現在では一度の充電で長い距離を走ることが可能となっています。
なお、こちらで表示している航続距離はWLTCモード(最新の燃費表示形式)の距離となります。(※テスラのみEPA航続距離表示)
車種 | 航続距離 | バッテリー容量 |
---|---|---|
テスラ Model S | 507km | 100kWh |
テスラ Model X | 475km | 100kWh |
日産 リーフe+ | 458km | 62kWh |
ジャガー I-PACE | 438km | 90kWh |
日産 リーフ | 400km | 40kWh |
BMW i3 | 360km | 42.2kWh |
フォルクスワーゲン e-ゴルフ | 301km | 35.8kWh |
三菱 i-MiEV X | 164km | 16kWh |
三菱 i-MiEV M | 120km | 10.5kWh |
価格と補助金
電気自動車の価格と補助金についてまとめているコーナーです。ガソリン車と比べると価格は高めに設定されていますが、ガソリン車にはない補助金も利用できますので、ぜひ電気自動車を購入の際の参考にしてみてください。
価格ランキング
日本で市販されている電気自動車を対象にした価格ランキングです。同じ車種でもグレードによって価格に幅がありますが、その場合は最も安いグレードを基準としてランキングにしています。
車種 | 新車価格 |
---|---|
三菱 i-MiEV M | 223万円 |
三菱 i-MiEV X | 295万円 |
日産 リーフ | 315~403万円 |
日産 リーフe+ | 416~473万円 |
フォルクスワーゲン e-ゴルフ | 499~516万円 |
BMW i3 | 543~634万円 |
ジャガー I-PACE | 959~1162万円 |
テスラ Model S | 960~1706万円 |
テスラ Model X | 1041~1780万円 |
補助金の種類
電気自動車を購入する際に適用可能な補助金には以下の4つがあります。電気自動車購入時に、ディーラーからちゃんと説明がありますので、補助金が適用されるかどうかの心配はしなくて大丈夫です。
補助金制度 | 金額 |
---|---|
自動車グリーン税制(自動車税) | 約22,000円 |
エコカー減税 | 約15万円(自動車重量税約3万円+自動車取得税約12万円) |
CEV補助金(クリーンエネルギー自動車等導入費補助金) | 約40万円 |
地方自治体による独自の補助金 | 自治体によって数万円~数十万円 |