未来車では「電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車」を次世代の車と位置づけてご紹介していますが、どの車にも必要となるのが電力です。
電気自動車とプラグインハイブリッド車は当然のこと、燃料電池車も水素を取り出す設備や水素ステーションの運営に電力が必要となります。
そこでこちらでは、日本のみならず世界的にも電力供給に深く関わっている、主な発電方法をまとめて解説したいと思います。
再生可能エネルギーを使う発電
エネルギー源としてほぼ永久に使い続けることができる(枯渇の恐れがない)エネルギーのことを再生可能エネルギーと言います。
火力発電や原子力発電で必要となる化石燃料はいつか枯渇してしまうとされていますが、再生可能エネルギーなら永久に使えるだけではなく、他国から輸入する必要もありません。
更に、二酸化炭素や大気汚染の原因となる有毒物質を排出することもないため、環境にも非常に優しいです。
昔からよく利用されているのは水力ですが、最近では風力や太陽光などといった新しいタイプのエネルギーも積極的に利用され始めています。
日本にとっても世界的に見ても、良いことづくめな再生可能エネルギーですが、発電コストの問題やエネルギー密度の低さなどといった課題がまだまだ残されていて、これからの技術の進歩に期待がかけられています。
なお、再生可能エネルギーは「自然エネルギー」と表記されることもありますが、分かりやすくするために当サイトでは「再生可能エネルギー」の表記で統一しています。
発電の種類 | 使用するエネルギー |
---|---|
水力発電 | 水の流れを利用して発電を行う。用水路で行う超小型のものから、ダムを用いた大型のものまで、規模は様々。 |
風力発電 | 風の力で風車を回して発電を行う。陸地のみならず、洋上(海上)に風車を設置するタイプも注目を集めている。 |
地熱発電 | 地下深くに存在する地熱を用いて発電を行う。日本は世界第3位の地熱保有国で、ポテンシャルは非常に高い。 |
太陽光発電 | 太陽光を太陽電池パネルに当てて発電を行う。家庭用の小型のものから、事業用のメガソーラーまで、規模は様々。 |
バイオマス発電 | バイオマスと呼ばれる資源を燃やして発電を行う。ゴミや廃材を再利用でき、循環型社会への貢献度も高い。 |
水力発電
水が落下する際に生じる力を利用して発電用水車を回すという方法です。1870年代にイギリスで誕生した発電方法で、日本でも明治時代から利用され続けています。
現在は火力発電が中心となっていますが、再生可能でクリーンなエネルギーであると同時に、水という純国産のエネルギーであるため、注目を集めています。
川を流れる水をそのまま利用する「流れ込み式」、川をせき止めてダムを作って、ダムに溜まった水を利用する「貯水池式」、川を流れる水の量を調整池で調整して利用する「調整池式」などといった複数の種類があります。
風力発電
風の力を利用して大きな風車を回し、電気を作っているのが風力発電です。風の運動エネルギーの約4割を電気エネルギーに変換することができ、そして大型化すればするほどコストパフォーマンスが良くなります。
風車は風が吹いてくる方向に向きを変えることができるため、常に風の力を受けることができるほか、一定の条件下においては風速が2倍になると発生するエネルギーは約8倍にもなります。
日本では北海道や秋田県・茨城県・静岡県・鹿児島県などを中心に風力発電所が設けられていますが、まだマイナーな存在です。しかし、再生可能で環境に優しいという大きなメリットを持っていることから、今非常に高い注目を集めています。
地熱発電
地熱発電はその名の通り「地熱」を利用する電力方法です。地面の奥深くにあるマグマの熱によって生まれた水蒸気を活用し、発電用のタービンを回るという仕組みです。今、再生可能エネルギーとして高い注目を集めています。
地熱は火山活動のあるところに生じやすいので、日本では火山の多い東北地方や九州地方に地熱発電所が集中しています。
ちなみに、地熱発電で最も多くの電気を生み出している国はアメリカです。カリフォルニアやハワイなどが中心となっています。
太陽光発電
太陽光のエネルギーを利用して発電する仕組みを太陽光発電と言います。屋外に太陽電池パネル(ソーラーパネル)を設置することで、太陽光のエネルギーを吸収し、電力へと変換することができます。「ソーラー発電」とも呼ばれています。
太陽光発電システムを家庭に設けることによって、日々の電気代を削ることができるほか、使用せずにあまった余分な電力を売る(=売電)こともできます。温室効果ガスを排出しないので環境に優しい発電方式としてもよく知られています。
バイオマス発電
植物を始めとした生物由来の資源のことをバイオマスと言います。製材廃材や建築廃材のほか、植物からとれるバイオエタノールや、バイオガスなどが燃料となります。
カーボンニュートラルという考え方の元、温室効果ガス(二酸化炭素)を排出しないとされているバイオマス発電は、単純に温室効果ガスを排出しないというだけではなく、資源の有効活用にも繋がるとされています。
枯渇性エネルギーを使う発電
先にご紹介した再生可能エネルギーの対義語にあたるのが枯渇性エネルギーです。使い続けるといつかは無くなってしまう(枯渇してしまう)エネルギーのことを意味します。
化石燃料を用いる火力発電や、放射性物質を用いる原子力発電が該当します。
人が調節することのできない太陽光や風などと異なり、燃料を用いる火力発電や原子力発電は、電力の安定供給といった面で大きなメリットを持つ一方、地球温暖化や大気汚染などの原因となる物質を排出してしまうというデメリットもあります。
発電の種類 | 使用するエネルギー |
---|---|
火力発電 | 石炭や石油などの化石燃料を燃やして発電を行う。世界的に主流となっている発電方法で、日本でも総発電量の6割以上を火力発電で賄っている。 |
原子力発電 | ウランやプルトニウムなどの放射性物質を用いて発電を行う。大量の電力を安定して発電できる一方、事故時のリスクが最も大きい。世界的にも原発を増やす国と脱原発を目指す国とで分かれている。 |
火力発電
発明家エジソンによって1880年代に発明された発電方法で、世界中の国々が火力発電を利用しています。日本の電気発電量の約6割が火力発電によって賄われているというほど、重要なポジションにある発電方法です。
1960年頃までは水力発電が主でしたが、以降は現在に至るまで火力発電が日本において最も多くの電力を生み出してきました。
ボイラーなどで発生した蒸気を利用して蒸気タービンを回す「汽力発電」、高温の燃焼ガスを発生させ、そのエネルギーでガスタービンを回す「ガスタービン発電」、蒸気タービンとガスタービンを組み合わせることで効率化を図った「コンバインドサイクル発電」など、複数の種類があります。
原子力発電
火力発電や水力発電と同様に、日本において多くの電気を生み出してきた発電方法です。2011年3月の福島原発事故以降、日本のみならず世界的にも更に注目されるようになりました。
大量の電力を安定して賄うには最適な方法ですが、万が一事故が発生してしまった場合、広範囲にわたって甚大な被害を及ぼすという大きな問題点も抱えています。